夏は「抜け毛」が気になる季節です。季節ごとに髪の毛の抜ける量はある程度変動しますが、元々生え変わりやすい上にいくつかの要因が重なってかなり抜け毛が目立ってしまうケースがあります。
生活習慣の在り方や知識の有無で「不必要な抜け毛」を遠ざけることも可能ですので、ぜひこちらのコラムをご覧いただき夏場の頭髪ケアにお役立てください。
夏という季節がもたらす「抜け毛」助長の要因
人の体毛や頭髪は常に「抜けては生えて…」を繰り返しながら全体量が維持されています。頭髪に関しては一般的に1日に100本ほど抜けているといわれており、特に夏から秋にかけては抜け落ちる髪の量も2倍近くになる傾向があります。
これは犬や猫などと同様に「生え変わりやすい季節」という側面もあるため致し方ない部分もあるのですが、これ以外にも「夏の生活習慣」や「ライフスタイル」の中で抜け毛を助長してしまっている場合が少なくありません。具体的に「夏特有の髪へのマイナス要因」を取り上げ、その対策についてご紹介いたします。
「夏の抜け毛」を助長しやすい行為
エアコンの効きすぎた部屋に居続けること、エアコンを我慢しすぎること
血行不良や代謝不良、ホルモンバランスの乱れによる発毛力の衰え
海やプール(海水浴)へのお出かけ
塩素や塩分付着での頭髪ダメージ
強い紫外線の中を無防備に出歩く行為
皮膚ダメージ(頭皮へのマイナス刺激)による抜け毛助長
当コラムでは、上記のうち「エアコン使用に関すること」を取り上げ、その影響面と対策について考えてみたいと思います。
エアコン使用の在り方次第で代謝不良やホルモンバランスの乱れに…!?
夏になると就寝時にはエアコンを使用するのが一般的だと思います。日中も家にいる場合には、扇風機だけでは我慢しきれないケースが多いかもしれません。熱中症対策として、「こまめに水分を補給すること」や「適度にクーラーを使用すること」は推奨されますが、エアコンの効いた部屋に居続けることは血行を悪くしたり、新陳代謝を落としてしまう可能性があります。
私たちの頭髪や体毛の成長は、「毛細血管を通じた栄養分の確保」によって促されています。具体的には、毛乳頭が毛細血管から栄養分を吸い上げ、毛母細胞の分裂を促すことで毛は伸びていきます。血液の循環が悪くなったり新陳代謝が衰えてしまうと、これらの働きが鈍る可能性がありますので、頭髪が細りやすくなってしまったり、抜け毛が多くなってしまう可能性も否めません。
また、クーラーの効いた部屋にい続けるとどうしても皮膚が乾燥しやすくなってしまいます。皮膚や頭皮の潤いは皮膚のバリア機能を適切に保つために大切なものなので、乾燥が進むと頭皮トラブルを生みやすくなってしまうという影響も考えられます。
エアコンを我慢することも良くない…
エアコンの効きすぎた部屋に居続けることは血行や代謝機能を落としてしまうためおススメできませんが、これは「エアコンを我慢したほうが良い」という意味ではありません。熱中症対策としてもそうですが、寝苦しくて寝られないような生活になってしまうと、睡眠習慣が乱れて「自律神経の働き」を悪くしてしまう可能性があります。
また、私たちは「成長ホルモン」を睡眠時に(中でも徐波睡眠と呼ばれる深い眠りの層にあるときに)多く分泌させることがわかっており、寝苦しいまま夜をやり過ごしてしまうと成長ホルモンが分泌されにくくなってしまいます。これは、皮膚の修復や髪の毛の成長にも悪影響を及ぼす行為です。このようなことから、「エアコンを使用しない」のではなく、あくまでも「エアコンは適度に使用し、温度を下げすぎないこと」を意識することが大切だということになります。
対策:クーラー使用時は、室温を28℃くらいになるように調整を!
環境省のホームページを見ると、クールビズの一環として「夏場の室温目安は28℃」と案内されています。これを聞いて「28℃なんて暑くてやってられない…」と思う男性も多いかと思いますが、これはクーラーを使用した結果の室温の目安です。エアコンを28℃に設定したからと言って、必ずしも部屋の室温が28℃になっているとは限りませんので、もう少し設定温度を下げる必要がある場合も十分に考えられます。
ポイントは「暑いからと言って室温を下げすぎないこと」です。エアコンに備わっている温度計に頼るのではなく、別の温度計で室温を見ながら27℃~28℃程度で調整していくと、実際にどの程度が基準として推奨されているのかを把握しやすくなるでしょう。
エアコン使用時の室温調整で意識したいこと
- 室温を28℃程度になるように調整する(下げすぎないようにする)
- 室温管理はエアコン内蔵の温度センサーではなく、別の室温計などを目安にして調整する
- 薄く通気性の良い部屋着を着用するように心がける
- 寝具は「ひんやりパッド」などの快適なものを使用する
- 場合により、エアコンを使った状態で扇風機を併用するなどして快適さを整える
また、「自分にとっての快適な温度は人によって異なる」という点も重要です。寝苦しいまま寝られないような状態で頑張ってしまうと本末転倒ですので、環境省の夏場の室温推奨温度「28℃」はひとつの目安として頭の中に置き、自分なりに「行き過ぎた快適さ」になってしまわないように調整するのが良いでしょう。
過剰な快適さは往々にして別の綻びをもたらします。ある程度の温度変化に順応できるのが私たちの身体機能の素晴らしいところですので、自分なりに「欲張りすぎない快適さ」をお求めください。
夏の抜け毛対策はまだまだある!引き続き「後編」へGO!
当コラムでは夏の抜け毛対策として「エアコン使用に関する注意点」をご紹介しました。既にご説明したように、夏は放っておいても抜け毛が多くなる季節ですので、代謝機能や血行不良を促してしまわないようにエアコンを効かせすぎないように注意しましょう。