男性の薄毛症状の多くは「男性型脱毛症(AGA)」と分類されますが、AGA以外にも脱毛症状はいくつかございます。また、男性型脱毛症(AGA)と似たような言葉(用語)もあるため、「ご自分の薄毛症状(脱毛症状)がどれに該当するのかわからない…」といった声も耳にします。
当コラムで、男性型脱毛症(AGA)とそれ以外の脱毛症のいくつかを解説いたしますので、薄毛症状にお悩みの男性はぜひご一読ください。
男性型脱毛症(AGA)とは…
男性型脱毛症(AGA)は、思春期以降の男性の薄毛症状を指すときに広く使われる言葉です。特に30代以降で顕著になってくるケースが多いですが、20代でも発症してしまう例も少なくありません。毛髪がしっかりと育たないまま(産毛のような細い状態のまま)抜ける本数が増えていき、前頭部や頭頂部で地肌が透けて見えてくるような症状です。
男性型脱毛症(AGA)の主な症状
- 毛髪が全体的に細くなってくる
- 抜け毛の本数が増えてくる
- 髪の生え際や頭頂部が透けてくる
男性型脱毛症(AGA)の原因は悪玉の男性ホルモン?
男性型脱毛症(AGA)は、発毛を促すはずの善玉の男性ホルモン(テストステロン)が悪玉の男性ホルモン(ジヒドロテストステロンへ=DHT)へと変化してしまい、本来的なヘアサイクル(1本1本の毛髪の生え変わり周期)が短縮されてしまうことで発症すると言われています。善玉男性ホルモン(テストステロン)から悪玉男性ホルモン(ジヒドロテストステロン=DHT)への変化は、還元酵素の「5αリダクターゼ(Ⅱ型)」が関与していると言われており、この結びつきを抑える治療が有効です。
壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょう)と訳されるケースも?
AGAは、Androgenetic Alopeciaという言葉を略したもので、意味としては「アンドロゲン(=男性ホルモン)にまつわる脱毛症」ということになります。日本では一般的に「男性型脱毛症」と略されていますが、以前は「若年性脱毛症(若ハゲ)」との年齢的な特徴を明確にするため「壮年性脱毛症」という表現が用いられていました。
近年では「男性型脱毛症」という言葉が使われることが多いですが、「壮年性脱毛症」と訳された場合も症状が変わるわけではありませんので、同じものだとお考えください。
若年性脱毛症(若ハゲ)との違いは?
「若年性脱毛症」については、特に医学的に明確な定義があるわけではありません。20代前半くらいまでの薄毛症状に対しては、以前は俗に「若ハゲ」という表現が多く使われ、これが医学的に「若年性脱毛症」と分類されていました。
原因として、「過度なストレス」や「生活習慣の乱れ」などが関わっていることが多いですが、男性型脱毛症(AGA)のように遺伝的傾向が早い段階で関与しているケースもあるため、「若年性脱毛症」と診断された患者さまが別のクリニックで「男性型脱毛症(AGA)」と診断されることもあります。
たとえば、慢性的な人間関係上のストレスなど…、ある程度明確な抜け毛原因が認められる場合には「男性型脱毛症(AGA)」とは診断しにくいですが、そうでないケースでは20代であっても「若年性脱毛症」という表現よりも「男性型脱毛症(AGA)」という形で分類されることが一般的になってきています。
円形脱毛症とは…
円形脱毛症は、頭髪において円形に脱毛班が生じる症状です。一般的には1つないしは2つ程度の脱毛班になりますが、症状が進行した場合には頭髪だけでなく眉毛やまつ毛、あるいは体毛へと広がるケースもあります。
円形脱毛症の症状や特徴
- 10円玉から500円玉程度の円形の脱毛班が毛髪で生じるもの
- 脱毛班と通常部位との違いが把握しやすいため、AGAとの違いは見分けやすい
- 短期間で急速に脱毛班ができてしまうという特徴がある
- 脱毛班は1つだけではなく、複数個生じることもある
- 重症化すると頭部以外にも脱毛班が広がってしまうケースもある
- 誰にでも発症する可能性があり、15歳以下の子どもが発症した場合には症状がひどくなりがちである
脂漏性脱毛症とは…
脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)とは、「脂漏性皮膚炎」の延長上にあるもので、脂漏性皮膚炎が重症化した結果として脱毛作用を生じたものになります。「脂漏性皮膚炎」を知らないと脂漏性脱毛症も理解できませんので、脂漏性皮膚炎について簡単に解説いたします。
「脂漏性皮膚炎」の悪化でもたらされる脱毛症状
脂漏性皮膚炎とは、皮脂が過剰に分泌されてしまうことで引き起こされる皮膚炎です。このため、たとえば頭皮や髪の生え際など、皮脂分泌量が多い箇所にできやすい傾向があります。過剰分泌された皮脂は紫外線やカビなどの活動によって脂肪酸に分解されて皮膚の炎症をもたらします。
この結果、皮膚に赤みが現れ、痒みによってフケのような皮脂カスがボロボロと剥がれ落ちるという症状になります。そして、これが慢性化して脱毛症状を引き起こしたものが「脂漏性脱毛症」ということになります。
脂漏性皮膚炎の症状や特徴
- 頭皮や髪の生え際など、皮脂分泌量の多い箇所で起こりやすい皮膚の炎症症状である
- 一定の「痒み」と共に皮膚に「赤み」が生じ、フケのような細かな皮脂カスが多くできてしまう
- 発症すると完治しにくく、良くなっても再発しやすい傾向がある
- 脂漏性皮膚炎が重症化していくと、毛穴が詰まりやすくなり発毛が阻害され、脱毛症状が引き起こされることもある(これを脂漏性脱毛症と言う)
マラセチア菌というカビ(真菌)の関与?
脂漏性皮膚炎の原因は、現在でもはっきりと特定されていません。皮脂分泌量の多さといくつかの生活習慣が複合的に重なることで発症すると言われています。マラセチア菌というカビ(真菌)が皮脂を好み増殖しているケースがあるため、カビに対して有効な「抗真菌外用剤」を使用する場合や、ミコナゾールという成分を含むシャンプーで改善していくケースもあります。
皮膚の炎症や痒みを抑制する目的で「ステロイド剤」を使用することも一般的ですが、長期的に使用すると副作用もあるため用法と容量には注意を要します。原因が複数考えられるため、同じ脂漏性皮膚炎であっても人によって効く薬が異なってきます。次のような生活習慣の改善を含めて総合的に対処していく必要があると言えるでしょう。
脂漏性皮膚炎で気を付けたい生活習慣
- ストレスの多い生活
- 睡眠不足や不規則な睡眠習慣
- 偏った食生活(高脂肪食やビタミンB群の不足)
- 不適切な洗髪習慣(洗いすぎ、刺激の強すぎるシャンプー、不十分なすすぎなど)
上記のようなポイントは、頭髪や頭皮環境自体にも良くないものです。脂漏性皮膚炎を発症していないケースでも日ごろから気を付けるようにしましょう。また脂漏性皮膚炎が悪化していくと、「脂漏性脱毛症」に繋がってしまうケースもありますので、頭皮や生え際で気になる赤みやフケ症状をお持ちの場合は早めにお病院での受診をするようにしてください。
抜毛症とは…
抜毛症(ばつもうしょう)は、無意識レベルで毛髪を引き抜いてしまったり、抜毛癖のようなものを持ってしまった場合に生じる脱毛症状です。自発的な「引き抜き」であるため、厳密には「脱毛作用」とは考えにくいですが、お子様の抜け毛症状を親の立場から見た場合などには脱毛症状に見えてしまうこともあります。
抜毛症の症状や特徴
- 心的なものを発端として無意識レベルで自分の髪を引き抜いてしまう症状である
- 自発的に引き抜いているため、髪にちぎれた跡が残り、よく見ると脱毛症との違いを確認できる
- 小学生程度の年少の子どもに多いが(特に女児)、成人で発症する場合もある
- 傾向としては、利き腕側の前頭部の毛髪を引き抜いてしまうことが多い
- 衝動制御の障害だと考えられる
内向的な気質が強く、人間関係に悩んでいる場合に発症しやすい
抜毛症の発症原因は実に様々です。両親との死別などで心的に強いショックを受けた場合や、学校や家族との間で人間関係上の悩みを抱えているケースなどが考えられます。自然に抜け落ちてしまう「脱毛症状」ではないことから、治療には心療内科などでのメンタルケアが有効になってきます。
その抜け毛症状…気になったらお早めのご相談を!
当コラムでは、男性型脱毛症(AGA)と混同されやすい用語に加え、別の脱毛症についてもいくつかご紹介しました。各脱毛症状をご覧いただければわかりますが、どのような脱毛症状であっても「放置」した場合には改善が期待できません。毛髪の抜け毛や薄毛症状、脱毛症状などでご不安をお持ちの際は、ぜひお早めに専門機関で診察をお受けください。
当院は無料カウンセリングでご相談に応じます
ご自分の脱毛症状で疑問が生じた場合は、ぜひ当院の「無料カウンセリング」へお越しください。お薬の処方以前のご相談であれば「無料カウンセリング」の中で対応いたします。お気軽にご利用いただけますと幸いです。