AGA、日本語で言うと「男性型脱毛症」。この治療を行なうにあたり、確かな効果が認められている薬は実質的に2種類のものです。1つは「フィナステリド」、もう1つは「ミノキシジル」と言われるものです。ただしこれらの薬は効果が高い分、服用する際に気をつけなければならいことも多くあります。ここでは、このような薄毛治療の救世主「フィナステリド」と「ミノキシジル」について取り上げ、薄毛に作用するメカニズムと効果、注意点などをまとめて解説しています。
フィナステリドの概要と効果
フィナステリドって?
フィナステリドは、AGA(男性型脱毛症)治療用の内服薬(飲み薬)として世界各国で用いられています。日本では、先発品として認可された、MSD株式会社の「プロペシア錠」が有名です。元々は前立腺肥大症の治療目的でフィナステリドがアメリカで研究されていて、その研究の過程で薄毛改善効果が発見されました。
フィナステリドの効果
フィナステリドに期待される効果は、「抜け毛の進行を抑えること」です。直接的に育毛作用を持つものではありません。平均的には概ね「半年程度で効果が出始める(抜け毛が減ったと実感される)」ことからも、効果を実感するのにも時間がかかります。
薄毛(抜け毛)のメカニズムチェック
そもそも薄毛は、本来の寿命を全うできずに早々と毛が抜けてしまうことで起こります。なぜ早々と抜けてしまうかと言えば、男性ホルモンの「テストロン(男性を男性らしくする非常に大切なホルモン)」が毛根奥で作られる還元酵素「5αリアクターゼ」と結びつき、髪の成長に悪影響を及ぼす「DHT(ジヒドロテストステロン)」へと変貌を遂げてしまうからです。DHTは胎児期においては男性性器の正常化という重要な役割も担いますが、思春期以降では俗に悪玉の男性ホルモンとされ、脱毛作用を引き起こします。
フィナステリドは健全な男性ホルモン「テストロン」が、還元酵素「5αリアクターゼ」と結びつくのを抑え込む効果があります。つまり、頭髪に悪さを働くDHTがフィナステリドの作用で生成されにくくなるわけです。結果、一本一本の髪の毛は本来通りに毛母細胞の栄養を受けてすくすくと育つことができます。
ただし、すくすく育つのは元々の毛母細胞の持っている作用によるものなので、直接的にフィナステリドが発毛作用を引き起こすわけではありません。フィナステリドはあくまでも毛が抜けてしまう悪い要因を作らなくするということになります。
どうやって入手?
通常はクリニックなどで医師の診断を受けて処方されるもので、錠剤タイプの飲み薬となります。1日1錠を基本として継続的に飲み続ける必要があることから、コスト面でも決して安くはありません。それでも、実際に抜け毛を減らす効果が高いことが評価され、多くのクリニックでAGA治療に使われています。
どれくらいの効果があるの?
フィナステリドは正式に認可されている薬になりますので、国内での臨床試験も行なわれ、改善効果があるとの結果も出ています。MSD株式会社の「プロペシア錠」については臨床試験データを公表しています。プロペシア1年間の臨床成績(国内)が次のリンク元で確認できます。
(参照:https://www.msdconnect.jp/products/propecia/medical_1y.xhtml)
臨床試験の内容チェック
<出典:MSDのHP プロペシア®錠 臨床成績<国内データ (1年)より抜粋>
簡単に試験内容を解説すると、24歳から50歳の男性型脱毛症患者398人をA群、B群、C群の3群に分けて1年間の効果を測定したものです。A群は偽のお薬(プラセボ)、B群はプロペシア0.2mg、C群はプロペシア1mgを服用するような形です(偽物を使うのは被験者にわからなくさせるためです)。
細かな解説は割愛いたしますが、1年後の写真評価により、上記のようにプロペシアを服用し続けた被験者の6割程度が薄毛に改善効果が見られたとされています。更に、同HPでは3年間継続服用した際の臨床成績も確認でき、服用を続けることで実に「98%の方」がAGA(男性型脱毛症)の進行が認められなかった=薄毛がそれ以上ひどくならなくなったという報告がされています。
(参照:https://www.msdconnect.jp/products/propecia/medical_3y.xhtml)
理解しておくべきこと
実際に効果があるお薬だということは概ね理解いただけたかと思いますが、フィナステリドはあくまでも「抜け毛を減らす」という方向での効能であり、発毛という効果までは期待できません。また「98%」という高い評価が出ているのも「現状維持に対するもの」です。
また、副作用にやリスクについては以下のような注意事項もありますので、併せて理解しておくことが大切です。
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- 効果には時間がかかる(平均的に6カ月)
- 女性や未成年者は服用できない
- 男性機能への影響や肝機能障害の副作用もわずかながらに報告されている
- ヘアサイクルの健常化のため、初期脱毛と呼ばれる症状もでる。
ミノキシジルの概要と効果
ミノキシジルって?
ミノキシジルは「高血圧の薬」として開発されたもので、血管を拡張させ、血圧を下げる効果があります。もともとミノキシジルは高血圧の人のための血圧降下剤として開発されたものですが、副作用として全身の体毛が増えるという傾向が見られました。そのため製薬メーカーは「発毛効果」という点に注目しました。
日本では1999年に大正製薬がミノキシジルを配合した塗り薬という形で「リアップ」という製品名で発売を開始しています。これはドラッグストアなどで買うことができます。
ミノキシジルのメカニズムを考えよう!
血圧が高い状態というのは、血管がぎゅっと緊張している状態だと考えるとわかりやすいです。ホースで水を遠くに飛ばす時に、ぎゅっと出口のところを締め付けつけますが、あのように血管に圧がかかって血管自体が狭くなっている状態が、高血圧の方の血管の傾向だと言えます。血圧を下げる効果のあるミノキシジルは、血管を広げてゆったりと血液を多く流れさえるという作用をもたらします。
この結果、血流が正常な状態になり、頭皮の毛細血管にもこれまで以上に隅々まで血が行き渡ります。こうなることで、毛細血管に隣接している各毛根の毛乳頭も、毛母細胞を活性化させることができるようになります。結果、これまで以上に毛がすくすくと育つという効果が生まれます。
どうやって入手?
「リアップ」であればミノキシジル5%のものも一般の薬局で購入できます。ただし、ミノキシジルの塗り薬だけでは本気で発毛効果を期待できるほどのものではありません。強い発毛効果を求めるのであれば、錠剤としての「ミノキシジル・タブレット」の方が効き目は出てきます。
錠剤のミノキシジルそのものの入手は、AGA(男性脱毛症)専用のクリニックを受診する方法があります。中には輸入代行するようなネット販売もありますが、品質面の問題や用量を素人が任意で判断して良いレベルの薬ではないため、これは決してお勧めできません。ご利用を希望される場合は、クリニックで医師の問診などを通し、適切に適量が処方されなければなりません。
理解しておくべきこと
ミノキシジルは本質的に「血管拡張剤」であるため、安易に手に取るべきものではありません。それでも効果が高いことは広く知られるものです。
ご利用をお考えの方は、特に体質面なども含め以下の点に注意が必要です。使用する場合、専門の医療機関で管理をしたうえで使用してください。
- 低血圧や高血圧の人は血圧に影響が出ることがあります
- 血管拡張により、頭痛やめまい、むくみなどの副作用も報告としてあります
- 心臓への負担で、動機、不整脈、血圧低下などの副作用も報告としてあります
- 体毛が濃くなる場合があります(個人差がありますが、発毛効果が期待できるので体毛自体も増えます)
ダブルの組み合わせで真価を発揮(プロペシアとミノキシジル)
抜け毛の抑制と発毛促進のダブルを実現!
それぞれのAGA治療薬の効果がフィナステリドは「抜け毛の抑制」、ミノキシジルは「血管拡張(血行促進)&発毛」であることがお分かりいただけたかと思います。では実際の治療ではどのように処方されるかというと、高い効果を求める場合においては、やはり「フィナステリド」と「ミノキシジル」の両方が処方されることが理想です。
こうすることで、「脱毛因子が取り除かれた状態の毛根」に直接的な活力を届けることが可能となります。もちろん、患者様の体質や体調、生活環境、頭髪・頭皮の状態も確認させていただいた上でのご提案にもなりますが、薄毛改善を強く希望される場合には、やはりダブルの服用が効果的です。
気になり始めた段階でのご相談が何より大切!
「フィナステリド」と「ミノキシジル」においては副作用面が気になるところだと思います。それでも医学的にも現在のAGA治療では最も高い効果をあげている2つの成分です。だからと言って、飲んで即日フサフサになるわけでもありませんが、慎重に計画的に長期間服用いただければ、かなりの確率で効果の期待できるものです。
このようなことからも、なるべく早期にクリニックに足を運んでいただき、より希望に近い頭髪を少しでも早く実現いただければと考えます。私たちは、これまでも多くの患者様のお悩みに向かい合ってきたAGA(男性脱毛症)専門のクリニックです。日々、経験を積み重ねながら、確かな実績を確立してきておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。