「湯シャン」で抜け毛が防げる!? 大切な髪を守るための洗髪!

シャワー

近年、シャンプー剤を使用しない「湯シャン」が注目を集めています。お肌が弱く頭皮トラブルを生じやすい方に最適だとされますが、実は抜け毛を防ぐのにも効果的だという声もあります。実際のところはどうなのか、具体的にどのような「湯シャン」が効果的なのか、当コラムでご紹介いたします。


湯シャンとは?

男性

湯シャンとは、シャンプー剤を一切使わずに「お湯だけで髪や頭皮を洗うこと」を意味します。なぜ、シャンプーを使わないのかと言うと、シャンプーには皮脂を必要以上に取り除いてしまう強力な化学物質(界面活性剤)が含まれているためです。


湯シャンによって、肌トラブルが減る!?

お肌の強さや生まれもっての体質などにもよりますが、人によってはシャンプーすることによって頭皮が外部刺激に対して弱くなってしまい、肌トラブルを生じてしまうケースがあります。これは、皮脂が「保護膜」のような形で頭皮を守っているためで、シャンプーによって必要な皮脂までも奪い去られてしまうことが影響していると考えられます。

髪を洗わずに放置していると頭皮がべたついてきて良くありませんが、だからと言ってシャンプー剤で皮脂を奪いすぎると、足りない皮脂を補おうという働きが生じ、皮脂の過剰分泌が常態化してしまうこともよくあります。特に1日に複数回シャンプーしている人の場合には、「シャンプーによる皮脂の脱却」と「身体機能による皮脂の補填」がせめぎ合っているような状態になり、頭皮上では過度に皮脂を分泌させようという機能が働いてしまいます。

こまめにシャンプーをすることは「清潔さ」と直結するかのような印象を抱いてしまいますが、実のところシャンプーによって頭皮トラブルが起こりやすくなっていることも一定程度事実なのです。また、必要以上の皮脂の脱却は「頭皮の乾燥」を招き、髪が育ちにくく抜けやすくなるという影響も考えられます。このようなことから、抜け毛予防という観点からも「湯シャン」が効果的になるケースがあります。


湯シャンが向かない二つのケース

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湯シャンには、向いている人と向いていない人が考えられます。一つは肌体質によるもので、もう一つは生活スタイルによるものです。詳しく見てみましょう。


1.「脂性」の方は湯シャンに不向き

脂性肌の患者さまの場合、湯シャンでは洗髪が不十分になってしまう可能性があります。湯シャンはシャンプーによる洗髪と比べると必然的に洗浄力が弱まってしまいますので、脂性の場合には頭皮の皮脂分が適切に洗い落とせない可能性が高いです。先程、「皮脂は頭皮にとって必要なもの」といった旨の解説をしていますが、ある程度は落としていかないと毛穴の詰まりや汚れ、臭いの原因にもなってしまいます。オイリー肌の患者さまの場合には、この点で湯シャンがフィットしない可能性が高いということになります。


ただし、脂性だと思い込んでいるケースもある

自分が脂性だと思っている理由を伺うと、「1日髪を洗わないと直ぐにベタついてくるから…」という回答をされる方もおられます。しかしながら、この「直ぐにベタついてくる」という作用はもしかしたら長年継続してきたシャンプーによる洗髪影響の可能性もあります。これは「顔のベタツキ」における洗顔の場合も同じです。洗顔フォームやシャンプーで直ぐに洗う習慣を持っている人ほど、身体機能による皮脂の補填が行なわれやすくなっていますが、体質上は特にオイリー肌でない可能性もあります。

このような場合だと、湯シャンを始めた当初は髪や頭皮のベタツキが気になるとは思いますが、2,3週間も経過すると徐々にベタツキが解消されていき、シャンプーで洗わなくても湯シャンのみで頭皮環境が安定するケースもあります。「湯シャンの開始時期が少し難しい…」という問題も考えられますが、可能であれば長期休暇などを利用して湯シャンによる肌体質の変化を確認してみると良いかもしれません。あるいは、週末は湯シャンで過ごしてみるという方法も考えられます。


2.ヘアワックスなどを使用する人は不向き

男性の場合、ヘアスタイルを整える際に「ヘアワックス」などの粘度の高いスタイリング剤を使用しているケースが少なくないともいます。あるいは、ヘアスプレーでカチッと決める場合もあるかもしれません。特に短髪で髪を立てるような場合には非常に有効なものではありますが、このような場合にはシャンプーによる洗髪を実施しないと、スタイリング剤の余分な成分が髪に残りトラブルの原因になってしまいます。

湯シャンによる洗浄力ではヘアワックスなどのスタイリング剤を落としきる力はありませんので、日々ヘアスタイルにこだわりを持って仕上げているという場合は「湯シャン」とは距離を置くことをおススメします。「湯シャン」の効果が気になって試してみたいという場合は、ヘアワックスなどを付けていない状態でご挑戦ください。


「湯シャン」の実践編

男性

では、実際に湯シャンの方法について解説いたします。以下の6つのステップに沿って「湯シャン」を実施していただければ、必要以上に皮脂が除去されなくなり、頭皮環境が今よりも安定してくる可能性があります。

男性型脱毛症(AGA)の初期症状

  • 1. 事前ブラッシングをする
    → 頭皮上の皮脂が落ちやすい状態を作る
  • 2. お湯の温度をぬるま湯程度の熱さ(36℃~38℃程度)に整える
    → 42℃程度の熱いお湯だと、少なからず頭皮に負担がかかる
  • 3. ぬるま湯を髪になじませながら、指の腹で頭皮を揉みこむように洗っていく
    → 皮脂を浮き上がらせ、余分な皮脂を頭皮から引き離す
  • 4. 一旦お湯を止め、ゆっくりと頭皮マッサージをする
    → 頭皮の血行を良くし、髪が育ちやすい土壌を作る
  • 5. 再び、ぬるま湯を髪(頭皮)に当てて、浮いてきた皮脂を洗い流すようにして落とす
    → 湯シャンでも「洗い」と「すすぎ」を分けるようにすると、効果的に皮脂を取り除ける
  • 6. 湯シャンの後は、タオルやドライヤーでしっかりと乾燥させる
    → 濡れた状態の放置(自然乾燥)は髪が傷みやすい状態をキープすることになるので避ける

すぐに安定するもの?臭いとかは大丈夫なの?

これまでシャンプーによって洗髪していた方が湯シャンに切り替えると、やはりしばらくの間髪や頭皮にベタツキが生じます。徐々に解消されていきやがて安定していきますが、ある日突然切り替えるのは難しいことが想像されます。当面はシャンプーと湯シャンを1日おきに切り替える方法を実践し、徐々に「湯シャン」の頻度を上げていけば良いでしょう(この際のシャンプー剤は天然由来成分など、洗浄力が強すぎないものを選ぶのが効果的です)。

こうすることで、違和感なく「湯シャン」を馴染ませることができます。「頭の臭い」について心配される方もおられますが、長期間「湯シャン」のみで生活されている方でも特別臭いが強くなるというようなことはありません。上述したように、しっかりと頭皮を揉みこんで洗っていれば、湯シャンのみでも皮脂汚れの臭いは落とせます。それでもご不安が強い場合は、大切な日の前日に限定してシャンプーをするスタイルが良いと思います。


AGA患者さまは、湯シャンだけでなく内服薬治療を!

当コラムでは、湯シャンの向き不向きや湯シャンのやり方、湯シャンによる頭皮環境改善の可能性などについてご紹介しました。「頭皮の乾燥」や「皮脂の過剰分泌」はシャンプー習慣によってもたらされているケースがあり、これを湯シャンで回避することで「頭皮トラブルの起きにくい髪の育ちやすい土壌を作る」というものです。

このような「湯シャン」のプラス作用については、状況によってうまくフィットするケースもありますが、たとえば既に「男性型脱毛症(AGA)」を発症しているような患者さまの場合、残念ながらその効果を実感できるほどの影響力までは期待できないのが実情です。


男性型脱毛症(AGA)は遺伝傾向により発症するもの

AGA

「男性型脱毛症(AGA)」は、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる悪玉の男性ホルモンが毛根組織を攻撃することで起こる薄毛症状です。これは頭皮の乾燥や血流以前の話で、前頭部や頭頂部に「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素がどの程度存在するのかに因るところが大きいものです。5αリダクターゼ(還元酵素)が多ければ多いほど、以下のようなプロセスが進行し、必然的に「ジヒドロテストステロン(DHT)」が産出されてしまいます。

悪玉男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」の産出メカニズム

善玉男性ホルモン「テストステロン」 + 5αリダクターゼ(還元酵素) → ジヒドロテストステロンが発生

血流に乗って全身を巡る善玉の男性ホルモン「テストステロン」は、本来的には毛髪の成長を後押しするものです。しかしながら、毛根付近において「5αリダクターゼ」と出会ってしまうと「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されてしまいます。こうなると、ヘアサイクル上の成長期が極端に短縮させられてしまい、髪が生えてきてもあまり育たないという結果に陥りやすくなります。

このような「ジヒドロテストステロン(DHT)」の産出のカギを握るのは、上記のように「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素の総量なのですが、実はこれは「遺伝的に受け継がれているもの」ということがわかっています。このため、「ジヒドロテストステロン(DHT)」がたくさんできる患者さまの場合には、どれだけ「湯シャン」を効果的に実施できても髪が育ちにくいという状況から脱却することはできません。


AGA治療薬ならDHTの産出プロセスをブロック可能!

薬

AGA治療薬の中には、「テストステロン」と「5αリダクターゼ」の結合を抑制する作用のあるお薬がございます(=フィナステリドと呼ばれるお薬)。医学的にこのような効果が立証されているため、こちらのお薬を服用していれば悪玉男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン(DHT)」の産出を抑えることができ、不自然に髪が成長しなくなるような影響を避けやすくなります。

「AGA対策は早期治療が有効」!と言われる理由は、このように物理的に毛根組織を攻撃する薄毛因子の発生をお薬の作用で遮断することができるためです。もう薄毛がある程度進行しているという場合に効果が出ないわけではありませんが、頭皮環境が弱体化してしまう前に手を打てばそれだけ健やかな毛髪を保ちやすくなります。

当院では、随時「無料カウンセリング」を実施していますので、「薄毛が気になり始めた…」という場合は、どうぞお早めにご相談ください。

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